昔、飲食店で働いていた。
お客様がきてくださるとうれしくて
どんなに忙しくても働いた。
お盆や正月も働き続けた。
朝から晩まで働いた。
お客様が来店してくださるよう
いろんなことを努力した。
店の掃除、物品整理整頓、補充。
帰りが夜中になっても苦にならなかった。
立場は『陰の店長』とさえ言われていた。
でも
突然、そのお客様はこなくなった。
当時、集めていたアンケートハガキの中の一枚に
思っていた店とは違う、とあった。
接客がまずかったのだろうか?
ステーキハウスという割には
安いランチやサラダバーを販売促進しすぎたのか?
客単価はどんどん下がっていく。
アイドルタイム(喫茶が増えるランチとディナーの間の時間)などには
回転率が悪くなる。
もちろん客足は伸びない。
社員教育を徹底した。
接客から掃除まで、食材の管理などの再チェックもした。
サラダバーにもいつも新鮮な野菜が並ぶよう
少しでも色が変わったら全部取り替えた。
それでも客離れは防げなかった。
新鮮なものを、と取り替えてきたため食材料費はかさみ、
ますます切り詰めていかないといけなくなった。
本社からは売り上げを伸ばせといってくる。
きびしすぎたのか
いつのまにか社員やバイトの人たちからは
一歩引かれる立場になってしまった。
何をやっても空回りしてしまう。
私は自分を責める。
私の何処が悪かったのだろう。
店の何処が悪かったのだろう。
なぜ客足が遠のくのか?
なぜ皆がついてきてくれないのか?
別の理由で、私はその店をあとにすることとなる。
・・・
その店がどうなったのかは、今はもう知る由もない。
だが、今でも、自分を責める癖は治っていない。
私が悪かったんだ。
あのとき、こうすればよかったんだ。
私は、私を責め続ける。
生きている限り、悩み続ける。